最期の別れ
2007-12-13 Thu 21:36

野郎共のワクチンと血液検査に病院へ行った昨日のこと。


待合室で待っている間に、センセに看取られて病院で息を引き取った1羽の小鳥と1匹の猫が夫々の飼い主の元へと戻っていった。


「辛いんだよね」


亡骸を引き取りにきた飼い主たちに無事、小さな命の抜け殻(ご存知の通り、薫@千太組的には亡骸を『脱皮した抜け殻』と表現する)を手渡したあと、センセがぽつんと呟いた。


小鳥は片足が捻じ曲がって飛び立てない所を今の飼い主に保護された。3年元気にしていたが、1ヶ月前、急に元気をなくし病院へ連れてこられた。しかし、寿命だったのだろう。センセの手厚い看護もむなしく、昨日この世を去った。


「でもさ、その小鳥は彼等に保護されたからこそ、今まで生きられたんじゃない?すごく幸せだったと思うよ」と私。センセもこっくり頷く。


猫は腎不全を患っていたが、直接的な死因はFVR(猫ウイルス性鼻器官炎)。ジュサ坊と同じく、生後30日以内に接種する最初のワクチンの前に発症してしまった、俗に言うキャリア。飼い主が保護してから毎年ワクチン接種していたにも拘らず、腎不全から来る免疫低下により体内のウイルスが大繁殖。鼻が詰まり食事も喉を通らなくなり、病院に連れてこられた。一時は持ち直したのだが、昨日急変し旅立った。


「千太郎も最期にはキャリアのジュサ坊から感染して、ひどい涙目と鼻詰りで苦しそうだったなぁ。食事も食べ辛そうだったけど最後の最後まで食べてくれてたから助かった・・・」と遠い目の私。


「そうだったなぁ。お前、辛かっただろう?」とセンセ。


「う〜〜ん・・・辛かったんだろうなぁ。いや、正直辛かった。でもさ。不思議なことに今じゃ、辛い思い出がひとつも思いだせないんだよ。充実してたなぁ、あの頃は。達成感の方が強いね」と私。


「お前みたいな飼い主ばかりだったらいいが・・・」


あの頃、毎日それこそ猫の目のように変化する千太の病状に一喜一憂しながら、心身ともにボロボロに疲れきっていた私だが、ある日センセから言われた一言で千太郎と最後の最後まで付き合う覚悟と勇気を貰った。


「お前だからだよ。お前じゃなかったら今すぐにでも千太郎を入院させる。そのくらい千太郎は危ないんだぞ。医者の不眠不休の治療と看護が必要な状態なんだぞ。でもお前だから安心して千太郎を託すんだ。お前だったらきっと千太郎と真正面から向き合ってくれると思うから。お前だったらきっとやれる」


六輔が3度、三途の川を渡りかけた時もそうだった。瀕死の状態だった六。夜中にセンセに電話する。センセの自宅は病院とは別の場所。だが、急診なら病院までバイクを走らせ診てくれる。「今すぐ輸液してあげたほうがいいんだろうが、ここに来る間に急変するかもしれんしな・・・それよりお前の傍にいさせてあげた方がいいのかもしれん。生命力があれば明日の朝まで生きてるだろうから、その時連れて来い」


任されてる。小さな命を私に任されてる。


重責で動悸がする。気分が悪くなる。思わず泣きたくなる。逃げたくなる。が、反面誇らしくもある。


最期の時間は私と野郎たちだけのもの。たとえセンセであろうが邪魔されたくない。その気持ちはきっとセンセにも伝わっているのだろう。


看取るということは侵しがたい厳粛でプライベートなものだと思う。


「辛いんだよね・・・」この一言にセンセのすべての気持ちが詰まっている。獣医として死に逝く命を看取るのは当然の仕事、かもしれない。が、他の獣医師は分からないがセンセの本心は・・・最期くらいは飼い主の元で迎えさせてあげたいと願っているはずだ。


世の中には「この子は僕の腕の中で静かに息を引き取ったんですよ」と嘯く獣医師もいると聞くが、うちのセンセに限って言えば「そんな嘘っぱち恥ずかしくて言えるかってんだぃ」と顔を赤らめる。


怖いといって離れていく人もいるが、私は今まで一度も怖いと思ったことがない。


それどころかどこまでもまっすぐで可愛らしいセンセが大好きな薫&千太組である。


そのセンセ、きっと今頃、ネズミ捕りのネバネバシートに貼りついて鳴き声も上げられないほど弱っているスズメのために、羽を一枚一枚必死になってはがしている最中だろう。「これで2羽目だ!見ろよ、この子もおんなじ目にあってここに連れてこられたんだ。ネズミ捕りは昔ながらの籠タイプにしてくれ。こんなネバネバシートを使うなら、お願いだから家の中にしてくれ。外で捕れるのは子猫とスズメくらいなもんだから#」あのスズメ、センセに助けられた1羽目と同じ丸裸になってもいいから、生きていてくれ。

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不思議に思うこと
2006-09-29 Fri 04:37

某ホラ作家のことも相当不可思議だけど、ここでお話しするのは例の某悪徳獣医師のことです。この問題、考えれば考えるほど根が深い。


うちのセンセが言うには、あの手の医師は日本中に掃いて捨てるほどいるそうだ。


今回問題になった医師のように、日本獣医師会のメンバーにならず、自分が設定した高額料金を提示できるフリーで開業している医師は少なくない。だからといって獣医師会のメンバーじゃなければ全員悪徳医師かといえば、そうでもない。獣医師会のメンバーだって、中には悪徳さん(爆)いるだろうし。


TVのニュースでも取り上げられたけど(あの時、私はTVを見ながら暴力爺様、徘徊婆さまの食事介助中)あの中で猫馬鹿さんならヨ〜ク知っている某有名病院が二件出てきた。悪徳さんはそこでも働いたことがあるそうな。で、そこの院長たちが「臨床経験がほとんどない」「こともあろうに内服薬を静脈に注射した」「獣医師とは認めない」と口を揃えて言っていた。何か変じゃない?彼らだってそんな危ない人を何の措置もせずそのまま放置してるわけよね。つまり見てみぬ振り。自分たちには関係ありませんって顔してインタビューに応えてる彼らだって、酒酔い運転ほう助罪と同じ罪があるんじゃないかね?


それにしても何でこういう連中が国家試験をパスするんだろう。医師免許って何を規準にして合格させるわけ?今回のことで、頭さえ良ければ人殺しでも医者になれるって証明したようなものだわね。


で、一度医者になったら最期、国が選出したエリートなので、恐らく行政は医師免許剥奪に積極的には動かないだろうね。だってそんなことしたら、自分の首絞めるようなもんだから。


それに医師に限ったことではないだろうが、あんな悪徳さんでも、その地域の開業医仲間同士庇いあうそうな。当たり前ながら褒めることはしなくても、けなすこともしないそうだ。だって明日はわが身だから。


あの裁判、この先どういう展開になっていくのか興味深く見守りたい。できることならこういう悪徳さんを選んだ国の手で医師免許剥奪、営業停止処分にして欲しいな。


同時に、生き物でありながら殺しても「器物損壊」の罪にしかならない社会通念を変えたいです。物ではなく生き物なんですから。命あるものを物扱いにしない社会。1日も早くそういう世の中になってほしいです。


今ようやく動き出した小さな輪がいつか大きな輪となり、例えば薬害訴訟のように、二度とこのような悲劇を生まないために全国の被害者がひとつになって、医師不適格者に免許資格を与えた国を相手取る裁判に発展することを願う。でないとこれから先も同じような悲劇が後を絶たないだろうから。


どの病院にいっても安心な世の中になるまでは、自己責任において、ここぞと思う医師のいる病院を選ぶ必要がある。


被害にあわないための病院(医師)選び・・・まず、そこに患畜さんを連れて行かず(だって院内感染だけじゃなく、こういう悪徳さんに診てもらって命とられるかもしれないし)料金設定とか相談とかしに訪れて、環境だけじゃなく、その医師の人となり、そして一番重要な自分との相性を見定め、そのついでにそこにいる方たちに評判を聞いてみるとか必要かもしれないな〜。


極端な話、私はうちのセンセがもし、なんらかの医療過誤で野郎共の命を短くしたとしても「センセも頑張ったんだろうから仕方ないよ」と言える自信がある。大切な命を預ける医師をどれだけ信頼できるかどうか。いい時だけじゃなく、いざという時にどれくらい相手を信じることができるか、許すことが出来るか・・・小さな命をちょうつがいとして、最期に行き着くところは人間同士の信頼関係なのかもしれない。

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楽しい苦労?
2005-11-01 Tue 22:33


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「おい、なんだ?そいつ、いつもそうやって耳チュパやるんか?」


六輔の膀胱炎の診察の為、ついでにこの前できなかった百寿の便検査もと奴らの生みたてウンチと朝一番の六のオシッコ、そして患畜の六と共に朝一で病院へ向かう。


看護師さんが早速検査開始。結果を待つ間、キャリーから出してやると、いつものように肩によじ登り私の耳をチュパチュパ。そんな六を見て、受付のパソコン画面とにらめっこしていたセンセが顔をほころばせながら口を開いた。


「耳たぶとか唇とかね〜。いっつも吸いながら舟漕ぐんだよね〜。朝はこいつのキスで目が覚めるの。それがいっつも丁度、朝飯時なんだよ」


「腹時計か〜、可愛いなぁ〜。うちにも白血病とエイズ持った子猫がいたんだよ。目が膿んでて潰れててさ〜、殆ど見えなかったけど、それでもほんの少しだけ開いた目の端から、俺の姿を見つけちゃダダダダ!って走ってきてさ〜。可愛かったな〜。タマランよな〜」


センセのお宅には保護された猫たちが何匹も暮らしている。健康な子達は里親を探し、病気の子はそれでもいいからと里親候補に名乗りを上げてくださる方がいれば、その後の大変さを懇々と諭し、それでもいいとなれば、センセの判断でこの人なら大丈夫だと思われる方にはお任せし、そうじゃなければすっぱり断り、そのまま一生センセのお宅で暮らすことになる。


話題に上った病気の子猫のこととなると「鬼」のセンセもおセンチになる。今までに何度、この子の話がセンセの口から出てきたことか・・・その子はへその緒付きの赤ちゃんだった。センセと奥様が懸命に育てたにもかかわらず、白血病とエイズのキャリアだったその子は1年も生きてはいなかった。目が開いて最初に見えた相手が親だ。やっとこさ目が開いたその子の視界にいたのが、このセンセだった。


「育つかどうかわからない時もそうだったけど、お陰様でこうして活発に動き始めると一瞬たりとも目が離せなくってサー。もう大変」


「辛くても苦労じゃないんだよな〜」


短い言葉の中にすべてが凝縮されている。今の私にはその思いが手にとるように理解できる。


「そうだね〜。苦労した分、喜びも倍増するよね〜。よくぞここまで育ってくれたってね〜」


「そうじゃなくてさ。あんたのことをこんなに愛してくれちゃってたら、苦労も何も感じないだろうって言いたいのよ、俺は」


検査が終わり、看護師さんが結果を書いた百寿六のカルテをセンセに見せる。


六の尿検査は異常なし。だが、あと一週間投薬することにした。この際、徹底的に治しておきたいからね。


百寿の便検査は陰性。毛がびっしり出ているので除去剤(ラキサ)を舐めさせること。ただ今、療法食と一緒にヘアボールコントロールを与えているので、毛が沢山出ているのかも。そうじゃなくても百は最近、鍋の材料の白菜を齧ってはトイレの中で毛玉を吐き出している(笑)


「六の胃袋って底なし沼だよ。勿論、生まれる前からの飢餓感がそうさせてると思うんだけど。これから先のこと考えるとちょっと心配」


「御飯代わりに寒天食べさせりゃいいよ。だけどなぁ、この子には寒天より御飯食べさせた方がいいなぁ。お腹一杯になっても栄養が足りなくなったら元も子もないしなぁ」


「そういえば、お腹にウンチ溜まってない?」


受付カウンター越しに六をセンセに手渡す。


「お?いっぱい溜まってるなぁ。でも、毎日出てるんだろ?だったら、チョイチョイ。ん、これでいい。ちょびっと細かく砕いといてやったから直に出るよ」


このセンセの指ってマジシャンみたい。猫も気がつかない間に、瞬きする一瞬時でお腹の中のウンチを細かく砕く。この指には千太も大分お世話になった。


うちのセンセ、自然治癒力、生命力を重んじる。だから、必要な時以外、これといった投薬も治療も施さなければ、いじり回すこともない。


もしセンセが摘便、下剤、浣腸といった医療行為を施すなら、六はそのとき相当ひどい症状だと思った方がいい。


センセという獣医、それくらいシンプルでわかりやすい。


晩年の千太も肝機能低下を改善する薬と2日おきの摘便、輸液だけ。あとは自宅療養。BUNが再び急上昇した時、静脈点滴します?と尋ねると「いらないよ」 この返事で千太の命がそう長くないことを悟った。


その時々で必要な医療行為を施すのは獣医師の責任。あとは全部飼い主の責任。「飼い主がわからないこと、気が付かないことは、俺にはもっとわからない」が常套句。どういう食事して、どういう環境で、どういう生活してて、どういった特別なことをしたからこうなった。動物が普通と違う行動を起こす時には、必ずそれまでの生活の中に原因があり、異常行動にはそれなりの理由がある。だからなにか異常を訴えたときには、食餌を与え、生活全般の世話をし、四六時中一緒にいる飼い主が理由を一番わかっているはず、というのが持論だ。


「折角、俺が食餌とか環境とか世話の仕方とかアドバイスしてもさ〜、はいはいって返事はしてもその通りに実行してくれなくってさ〜。だったらもううちに来なきゃいいじゃん。俺の言うこと聞けない人は来てもらいたくないわけよ。ところがさ〜、そういう人に限って、ま〜たおかしくなりました!どうにかしてください!助けてください!って言ってくるのよ。頭が痛い飼い主がワンサカいてさぁ〜。若い時分にゃ、ま〜だ忍耐力もあったけど、最近じゃいちいち答えるのが面倒になっちゃって。喧嘩する気力も萎えちまってさ〜・・・いい加減なこと言ったり、やったりするくらいなら、病院閉めちゃおうかなって本気で考え始めてるんだよ」


シンプルで熱血。動物の命を助ける為なら飼い主に向かって平気でズバズバものを言う。奥さんを受付において営業してれば、今頃ビルの2つや3つ建ってたかもなぁと笑う。


帰省して野郎共の新しい主治医を探すとき、このセンセと比較しちゃ相当ハードルは高くなるだろうね〜。っていうか、20年以上の長きに渡ってお付き合いしてきたことを差っぴいたとしても、いるんかい、近所にこんな熱血センセ。

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うちのセンセ
2005-04-28 Thu 10:43

昨日の日誌に書いたうちのセンセのことを、今日はもっと深く掘り下げてみようかね。


容姿ですが、顔は梅沢富美男をも少し男っぽくした感じでね〜、
金縁のメタル眼鏡かけててね〜、年齢より遥かに若く見えてね〜、
身長183cm、アメフト選手かラグビー選手ばりのいい体してるよん。結構いい男。


実年齢を知らないときは、私とほぼ同年齢、もしくは年下とばっかり思ってた。ところがどっこい、本当の年を聞いて(@_@)!!私より10歳近くお兄ちゃんだった。これにはさすがの私も驚いた。


センセは無法松と同じ九州福岡、玄界灘育ち。小さな頃から悪ガキで〜、15で不良と呼ばれたよ〜♪で高校中退。人見知りが激しく、人間関係をうまく営むのが大の苦手。今では考えられないことだけど、長いこと話すことがド下手だったらしい。それもあって、言葉を話さない動物のお医者さんになった。思ったことは包み隠さずズバッと切り出す。お世辞が大嫌い。どんなに年上で偉い人だろうが、間違ってると思えば食って掛かる。俺様体質だが、ひどく繊細。「俺のことが嫌いだったら無理しないでさっさといなくなっちまってくれ。俺の周りにゃ、俺を好きでいてくれる人間がいてくれれば充分」これと思った相手のことはトコトン信じ抜く。もし信じた相手から嘘をつかれたとしても、その言葉を鵜呑みにし、疑うなんてこと小指の先ほども考えない。女が苦手(ただ〜し、○中 美里の大ファンである。彼女のMダックスフントはこの病院の患者なのだが、ある日、治療に訪れた彼女を前にして、顔を真っ赤にしながらずっと前から用意していた色紙にサインをしてもらい、満面の笑みを浮かべたのを目撃)。インフルエンザに感染して40度近い熱を出しても、その日のうちに沢山汗を掻くと、次の日にはケロッと治ってしまう羨ましい体質の持ち主。ひどいパソコン音痴。ネットに異常な偏見あり。石原裕次郎が神様。


高校中退後、単身上京。一念発起して高卒資格を取得。大学進学を目指す。○本大学獣医学科卒。その後、○クタリ系列に就職し、恩師の下で修行を積み、20年前にS区で○クタリ動物病院を開業。その後、独立し現在に至る。


「小鳥から象まで」がキャッチコピー。エキゾチックアニマル(ミーアキャットをあそこで生まれて初めて見て触った)、フェレット、うさちゃん、ハムちゃん、何でも来い!


病院で販売してる食餌は、ヒルズとキドニーケアのみ。「空気含有率が最も少ないから、腐敗しにくい。ゆえに体に有益。それに些細なことで裁判ざたになるアメリカで、研究開発。多大な人気を博しているから信じられる」と語る熱烈なヒルズ信者である。彼が「御飯食べてる?」と聞いたら、それはヒルズのこと。それ以外の食餌を御飯とは呼ばない。ナチュラルライフだけは、例外中の例外。これに限っては寿幸に食べさせろ、と推奨している。


缶詰に関してもこだわりがある。ヒルズはOKだが、それ以外の缶詰は与えてはならぬ。与えるならドライをふやかしたものにしろ。缶詰は体内で腐敗する!と断言する。(あたしゃぁ、守ってないけど!)


通院してくる方で彼の方針と違う食餌を与えていても、診療拒否はしないし、ヒルズにスイッチしろとも言わない。。。何ら強制しない。。。ただアドバイスするのみ。ただし、そのアドバイスに耳を貸さず、食餌が原因で病気になっても、俺の責任じゃないぞ。そうなった時、「どうにかしてください。助けてください」とすがりつくなよ!


だが、彼が「この人とはうまくやっていける」と感じた患者が、方針から外れたことをやった瞬間、鬼になる。心底落ち込む。悲しがる。そして、怒る。その患者さんを信じているからこそだ。その患者さんが彼を信じて一緒に病気と闘っていると信じているからだ。信じている者から裏切られる悔しさから、彼はパニックを起こす。


「もういいです。俺のやり方が合わないなら、どうぞ他を当たってください。次から来ていただかなくて結構!カルテも破棄します!!」


この啖呵、病院の受付で何度耳にしたことだろう。現場に居合わせた初診の患者さんは固まるわ、縮み上がるわ、下手すると震え出し涙ぐむ人まで出る始末。


常連さんは・・・あぁ、また始まった〜、とほくそ笑む。


これで何人の患者さんを失ったことか。だが、彼は平気の平左。「もっと人数少なくなって欲しいくらいだよ」実際、口コミや、あの超しょぼいHPを立ち上げたお陰で、患者さんは年々増えている。連日大繁盛だ。


皆様ご存知の通り、私は・・やりましたよ〜、違う食餌与えたこと。それも二度ほど。でもね、縁切りも出入り差し止めも喰らわなかった。「20年来の付き合いがある○○さんだから診療するんだからね。でも、もう二度と裏切らないでな」「もう二度とやらないって言ってやっちゃうからな〜。信じられないな」あれ以来、これが私に対する彼の口癖になった。


往診、自宅輸液はしない。その代わり、土日祝祭日も診療。夜中であろうと急患は診療する。年中無休。


S区の役員。獣医師会S区支部の幹事。インフォームドコンセント重視。自宅にも病院にも保護動物(殆どがニャンコ)、三宅島から避難してきたワンコ、退院日を過ぎてもお迎えの来ないワンコなどなどがワンサカ大勢いる。


独自のカルテを作成し、各自飼い主が保持。


人間のことなどどうでもいい。動物の命が最優先。俺を頼って来てくれたんだから、死なすわけにゃぁいかない。なんとか助けなきゃ!


以前は百次郎のように、別の品種の猫同士からどんな子供が生まれるかに熱中していた。その後は熱帯魚、ウコッケイ(産みたての卵ごちそうさま〜)、そして現在、錦鯉とランチュウの繁殖に夢中。


お酒は一滴も飲めないヘビースモーカー(最近は付き合いで飲み始めたらしいけどね)。


20歳を迎えられない千太のために、S区長と掛け合い、本当は20歳でしか貰えない表彰状を19歳で受け取れるようにしてくれた。


千太の脱皮を報告すると、「大往生だな。良く頑張ったよ」と言いながら電話の向こうで泣いていた。


研究論文、専門書は勿論のこと、今でもヒマさえあれば大学の講義のノートを開き勉強する。


どこまでも熱い、熱すぎるセンセなのだ。


DSCN0610.jpgセンセよ〜、長いこと世話になったな。ありがとよ!俺の弟分のこと、よろしく頼むぜ。


 


*なんだか他人事ではない獣医師関連記事http://www.ne.jp/asahi/conago/nimravus/vus10/jyui.html

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